ポストに「セゾン債権回収株式会社」からの封書が届いていたら、多くの方が戸惑うのではないでしょうか。
「未払い金の督促」と書かれているけれど、心当たりがない。こんな会社から借金した覚えもないし、何かの間違いではないか――。
「これって詐欺?」「無視していいの?」と不安になってしまいますよね。
この記事では、セゾン債権回収からの督促状が届いたときの対処法について、調べた情報をもとに分かりやすくまとめました。焦らず、一つずつ確認していきましょう。
セゾン債権回収って、そもそも何の会社?
まず気になるのが、「セゾン債権回収って何者?」という点ですよね。
結論から言うと、セゾン債権回収株式会社は法務大臣の許可を受けた正規の債権回収会社です。クレジットカードで有名なクレディセゾンのグループ会社で、決して怪しい会社ではありません。
債権回収会社というのは、銀行やクレジットカード会社などから委託を受けて、返済が滞っている債権(簡単に言えば「返してもらう権利」)を回収する仕事をしています。法律で認められた正当なビジネスなんです。
ただし、正規の会社だからといって、届いた督促状が必ずしも本物とは限りません。実は、セゾン債権回収の名前を騙った詐欺も報告されているんです。
なぜ身に覚えがないのに請求が来るの?
「借金なんてしてないのに…」と思っている方も、実は以下のようなケースに当てはまっているかもしれません。
昔の契約を忘れているパターン
人間の記憶は意外と曖昧なもの。数年前に作ったクレジットカードの年会費、携帯電話の機種代金の分割払い、奨学金の返済など、「そういえば…」と思い当たることはありませんか?
特に引っ越しなどで住所が変わっていると、請求書が届かず、気づかないうちに滞納扱いになっていることもあります。
債権が譲渡されたパターン
これが一番分かりにくいケースかもしれません。
例えば、あなたがA銀行のカードローンを滞納していたとします。A銀行は回収が難しいと判断すると、その債権(返してもらう権利)をセゾン債権回収に売却することがあるんです。
こうなると、セゾン債権回収が新しい債権者として請求してくることになります。「A銀行からは何も連絡がなかったのに、突然知らない会社から請求が来た」というのは、このパターンです。
本当に架空請求のパターン
そして最も厄介なのが、セゾン債権回収を装った詐欺です。
正規の会社名を使うことで信用させ、お金を騙し取ろうとする手口。法務省も注意喚起していますが、実際にこうした被害は後を絶ちません。
本物と偽物、どう見分ければいい?
ここが一番重要なポイントです。法務省の情報をもとに、正規の債権回収会社が絶対にやらない請求方法をまとめました。
封書の形式をチェック
正規の督促状は、きちんとした封書で届きます。目隠しシールのないハガキで届いた場合は要注意。個人情報が丸見えの状態で督促するなんて、正規の会社ならあり得ません。
連絡先の電話番号を確認
請求書に携帯電話の番号が書いてあったら、ほぼ確実に詐欺です。正規の会社なら固定電話の番号を記載します。また、やたらと複数の電話番号が並んでいるのも怪しいサインです。
振込先の口座名義
振込先が個人名義になっていたら、それは完全にアウト。正規の債権回収会社なら、必ず会社名義の口座を指定します。
請求内容の具体性
「有料番組未納料金」「電子消費者契約通信未納料金」といった曖昧な表現や、出会い系サイトの利用料などを請求してくることは、正規の債権回収会社には絶対にありません。
もし一つでも怪しいと感じたら、記載されている連絡先には絶対に電話しないでください。まずは消費生活センター(188番)に相談するのが安全です。
「身に覚えがないから」と放置するのは危険
ここまで読んで、「やっぱり詐欺かも」と思った方もいるかもしれません。でも、ちょっと待ってください。
もし本物の督促状だった場合、無視し続けるとどうなるか。これが想像以上に深刻な事態を招くんです。
まず、遅延損害金がどんどん膨らんでいきます。通常の利息より高い利率で、毎日加算されていくんです。
そして、2〜3ヶ月滞納が続くと、信用情報機関に事故情報が登録されます。いわゆる「ブラックリスト入り」です。こうなると、新しくクレジットカードを作ることも、住宅ローンを組むことも難しくなります。
さらに放置すると、自宅や勤務先に連絡が入ることも。家族や職場に借金のことを知られてしまうかもしれません。
最悪の場合、裁判を起こされ、給料や預貯金が差し押さえられることもあります。ここまで来ると、もう取り返しがつきません。
では、実際にどう対処すればいい?
督促状が届いたら、まず深呼吸。焦らず、以下の手順で対処していきましょう。
ステップ1:請求内容を冷静に確認する
届いた封書をよく読んで、以下の情報をメモしてください。
元の債権者は誰か(どこの会社からの借金なのか)、最終返済日はいつか、請求金額はいくらで、その内訳はどうなっているか。
この情報が、次のステップで重要になってきます。
本物だけど身に覚えがない場合は?
確認した結果、明らかに本物の督促状だけれど、どうしても心当たりがない――。そんなときもあるかもしれません。
その場合、絶対にやってはいけないのが「無視」です。まずはセゾン債権回収に連絡を取り、請求の詳細を確認しましょう。
ただし、このとき注意したいのが、電話での対応です。請求書に記載されている電話番号にかける前に、法務省のホームページでセゾン債権回収の正規の連絡先を確認してください。請求書に書かれた番号が偽物である可能性もあるからです。
連絡する際は、以下の点を確認しましょう。
- 元々どこの会社からの債権なのか
- いつ債権譲渡を受けたのか
- 債権譲渡の通知は届いていたのか(引っ越しで届かなかった可能性も)
- 具体的な契約内容や取引履歴
これらを確認することで、「そういえば…」と思い出すこともあります。また、本当に間違いであれば、その場で誤請求であることが判明するかもしれません。
ただし、電話でのやり取りに不安がある場合や、話が複雑になりそうな場合は、次のステップで紹介する専門家に相談してから対応するのが安全です。
ステップ2:専門家に相談する
ここが最も大切なポイントです。自分一人で判断しようとせず、まずは専門家に相談することをおすすめします。
相談先としては、弁護士や司法書士の事務所が一般的です。多くの事務所が初回相談無料で対応してくれます。
収入が少なくて費用が心配という方は、法テラス(日本司法支援センター)を利用するのも一つの方法です。一定の条件を満たせば、無料で法律相談を受けられます。
ステップ3:状況に応じた解決策を選ぶ
専門家と相談した結果、支払い義務があると判明した場合でも、解決策はあります。
一括で返済できるなら、それが一番スムーズです。でも、多くの人はそうはいきませんよね。
そんなときは、分割払いの交渉をすることになります。専門家が間に入って交渉してくれれば、無理のない返済計画を立てられる可能性が高まります。
それでも返済が難しい場合は、債務整理という方法があります。任意整理なら将来の利息をカットしてもらえますし、個人再生なら借金そのものを大幅に減額できることもあります。
自己破産は最終手段ですが、どうしても返済できない状況なら、人生をやり直すための正当な選択肢です。
一人で抱え込まないで
借金の問題って、誰にも相談できずに一人で悩んでしまいがちです。でも、それが一番よくありません。
問題を先送りにすればするほど、状況は悪化していきます。遅延損害金は増え続けるし、精神的な負担も大きくなる一方です。
消費生活センター(188番)は、架空請求かどうか分からないときに気軽に相談できる窓口です。法テラスは、経済的に余裕がない人でも法律相談を受けられる公的な機関。そして弁護士や司法書士は、具体的な解決策を一緒に考えてくれる専門家です。
どの窓口も、あなたの味方です。恥ずかしいことなんて何もありません。
最後に
セゾン債権回収からの督促状が届いても、パニックになる必要はありません。
まずは本物かどうかを確認し、本物なら専門家と一緒に最適な解決策を見つける。この流れを守れば、必ず道は開けます。
大切なのは、一人で抱え込まないこと。そして、問題から目を背けないこと。
この記事が、あなたの不安を少しでも和らげ、次の一歩を踏み出す勇気になれば幸いです。