セゾン債権回収から「債権譲渡通知書」が届いた場合の対処法

郵便受けを開けると、見慣れない黄色や緑色の封筒。差出人を見れば「セゾン債権回収株式会社」と書かれています。中を開けば「債権譲渡通知書」という聞き慣れない言葉が目に飛び込んできます。心臓がドキッとして、「これ、何?詐欺?それとも本物?」と不安になった方も多いのではないでしょうか。

実は私の知人も同じような通知を受け取り、真っ青になって相談してきたことがあります。でも、正しい知識さえあれば、必要以上に怖がることはありません。今回は、セゾン債権回収から債権譲渡通知書が届いた時、どう対処すればいいのかを、できるだけわかりやすくお伝えします。

なお、この記事は「身に覚えがある」方向けの内容です。全く心当たりがない場合は詐欺の可能性もありますので、まずは警察や消費生活センターに相談してください。

セゾン債権回収からの封筒の特徴

セゾン債権回収からの通知は、以下のような特徴的な外観で届くことが多いです[1]

  • 黄色や緑色の窓付き封筒で届く(目立つように色付きの封筒を使用)
  • 「重要」「親展」といった文字が四角で囲まれている
  • 「セゾンサービサー」のロゴが入っている
  • 普通郵便で送られてくることが多い

また、段階が進むと赤い封筒で届くこともあります[2]。封筒の色が変わるのは、受取人の注意を引くための工夫で、事態の緊急性を示していることもあります。黄色や緑色の封筒を無視し続けると、より目立つ赤い封筒に変わることがあるのです。

セゾン債権回収って、どんな会社?

まず気になるのが「セゾン債権回収って怪しい会社じゃないの?」という点ですよね。

結論から言うと、セゾン債権回収株式会社は正規の会社です。クレジットカードの「セゾンカード」で有名な株式会社クレディセゾンのグループ企業で、法務大臣の許可を受けて債権回収業務を行っている、いわゆる「サービサー」と呼ばれる専門会社です[3]

カード会社や銀行などの金融機関は、長期間返済が滞っている債権について、自社で回収を続けるよりも、回収のプロであるサービサーに任せた方が効率的だと判断することがあります。そうした時に、あなたの債権がセゾン債権回収に譲渡されるわけです。

つまり、セゾン債権回収からの通知は「詐欺」ではなく、れっきとした正式な手続きの一環なのです。

「債権譲渡通知書」って何?なぜ届くの?

ここからが本題です。「債権譲渡通知書」とは、簡単に言えば「あなたの借金の返済先が変わりました」というお知らせです[4]

例えば、あなたがA社のクレジットカードで買い物をして、その支払いが滞っていたとします。するとA社は「この債権はもう自分たちでは回収できないな」と判断し、セゾン債権回収に債権を売却(譲渡)します。この時点で、あなたが返済すべき相手はA社からセゾン債権回収に変わるのです。

そして法律上、債権が譲渡されたことを債務者(つまりあなた)に知らせる義務があるため、「債権譲渡通知書」が送られてくるというわけです。

この通知書には、元々どこの会社の債権だったのか、いくら残っているのか、遅延損害金はいくらかといった情報が記載されています。

無視したらどうなる?

「面倒だから無視しよう」「そのうち忘れてくれるかも」と思う気持ちはわかります。でも、これは絶対にNGです。

債権譲渡通知書を無視し続けると、セゾン債権回収は法的手段に出ます。具体的には、裁判所を通じた支払督促や訴訟を起こし、最終的にはあなたの給与や預金口座を差し押さえることができるのです[5]

給与が差し押さえられれば、当然会社にも借金の存在がバレてしまいます。そうなる前に、きちんと対処することが何より大切です。

届いたらまずやるべきこと

では、実際に通知書が届いたら、どうすればいいのでしょうか。落ち着いて、以下の手順で確認していきましょう。

1. 通知書の中身をしっかり読む

当たり前のようですが、意外と「怖くて開けられない」という人もいます。でも、まずは中身を確認しないことには何も始まりません。

チェックすべきポイントは次の3つです。

  • 元の債権者は誰か(どこの会社の支払いだったのか)
  • いつの契約か(何年前の話なのか)
  • 請求額の内訳(元金と遅延損害金の内訳)

特に注意してほしいのが「遅延損害金」です。これは返済が遅れたことに対するペナルティのようなもので、通常の利息よりも高い利率で計算されます。そのため、長期間放置していると、元金と同じくらい、あるいはそれ以上に膨れ上がっていることも珍しくありません[5]

「え、こんなに借りてないのに!」と驚くかもしれませんが、その大部分が遅延損害金である可能性が高いのです。

2. 時効が成立していないか確認する

実は、借金には「時効」があります。一定期間が経過すると、法律上、返済義務がなくなるのです。

そして重要なのは、債権が譲渡されても、時効の期間はリセットされないという点です[5]。つまり、元の会社から借りた時点を起点として時効が進んでいるのです。

時効の期間は、最後に返済した日(一度も返済していない場合は借り入れた日)から数えて、原則として5年です[6]。ただし、2020年4月に民法が改正されたため、それ以前と以降で少し扱いが変わります。

借入時期 時効期間
2020年3月31日以前 カード会社や消費者金融からの借入は5年
2020年4月1日以降 債権者が権利を行使できると知った時から5年、または権利を行使できる時から10年のいずれか早い方

もし「最後に返済したのは7年前だ」というような場合、時効が成立している可能性があります。

ただし、時効は自動的に成立するわけではありません。「時効なので払いません」という意思表示(これを「時効の援用」と言います)を、内容証明郵便などで正式に行う必要があります[6]

3. 自分の状況に合わせて対応を決める

時効の可能性も含めて確認したら、次は具体的な対応を考えます。

ケース1:一括で返済できる場合

もし経済的に余裕があり、一括で返済できるなら、それが一番スムーズです。セゾン債権回収に連絡を取り、振込先を確認して支払いましょう。場合によっては分割払いの相談にも応じてもらえることがあります。

ケース2:返済が難しい場合

請求額が大きくて、とても払えそうにない。そんな時は、一人で悩まず、弁護士や司法書士といった専門家に相談してください。

専門家はあなたの代理人として、セゾン債権回収と交渉してくれます。分割払いの条件を整えたり、場合によっては減額交渉をしたり、あるいは自己破産や個人再生といった債務整理の手続きをサポートしてくれます。

多くの法律事務所では、初回相談は無料で受け付けています。「お金がないのに弁護士なんて」と思うかもしれませんが、むしろお金がない時こそ、専門家の力を借りるべきなのです。

ケース3:時効が成立している可能性がある場合

これが一番注意が必要なケースです。

もし時効が成立している可能性があるなら、絶対に自分でセゾン債権回収に連絡してはいけません

なぜなら、電話で「少しなら払えます」と言ってしまったり、わずかでも返済してしまったりすると、それが「債務の承認」とみなされ、せっかくの時効がリセットされてしまうからです[5]

時効の援用は法律的な手続きなので、必ず専門家に相談して、正しい方法で進めてもらいましょう。

絶対にやってはいけない3つのこと

最後に、債権譲渡通知書が届いた時に、絶対にやってはいけないことをまとめておきます。

1. 無視・放置

「見なかったことにしよう」は、最悪の選択です。事態は悪化するだけで、最終的には裁判や差し押さえに発展します。

2. 焦って安易に連絡する

特に時効の可能性がある場合、不用意な連絡は命取りです。「とりあえず電話してみよう」ではなく、まず専門家に相談してから行動しましょう。

3. 一人で抱え込む

法律の知識がないまま、自己判断で動くのは危険です。家族や友人に相談しづらい内容かもしれませんが、専門家には守秘義務があります。一人で悩まず、プロの力を借りてください。

まとめ

セゾン債権回収から「債権譲渡通知書」が届いても、パニックにならないでください。それは正規の手続きであり、正しく対処すれば必ず解決の道は開けます。

大切なのは、通知書の内容をきちんと確認し、時効の可能性を含めて冷静に状況を把握すること。そして、少しでも不安があれば、専門家に相談することです。

借金の問題は、放置すればするほど深刻化します。でも、適切に対処すれば、必ず解決できます。この記事が、あなたの不安を少しでも和らげ、次の一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。