セゾン債権回収から「訴訟等申立予告通知」が届いた場合の対処法

郵便受けを開けたら、見慣れない会社から「訴訟等申立予告通知」という書面が届いていた。封を開けて中身を見た瞬間、頭が真っ白になった――。

もしあなたが今、そんな状況に置かれているなら、まずは深呼吸してください。この記事では、セゾン債権回収から届く「訴訟等申立予告通知」が一体何なのか、そして具体的にどう対応すればいいのかを、できるだけわかりやすくお伝えします。

なお、この記事は詐欺や架空請求の話ではありません。過去にクレジットカードやローンを利用していて、返済が滞ってしまった方に向けた内容です。

「訴訟等申立予告通知」って、結局何なの?

まず結論から言うと、この通知は「このまま支払いがなければ、裁判所に訴えますよ」という最後通告です。

「訴訟」という言葉を見て、「もう終わりだ…」と思ってしまった方もいるかもしれません。でも、ちょっと待ってください。この通知が届いた時点では、まだ裁判が始まったわけではありません。あくまで「予告」なんです。

ただし、だからといって放っておいていいわけではありません。むしろ逆です。この通知を無視し続けると、本当に裁判所に訴えられて、最悪の場合、給料や銀行口座が差し押さえられる可能性があります。

この通知が持つ意味を、もう少し詳しく見てみましょう。

項目 内容
通知の目的 債権者が本気で法的手続きを取る前に、支払いを促すための最終警告
法的な効力 通知そのものに強制力はないが、訴訟準備が進んでいることを示している
無視するとどうなるか 訴訟や支払督促が申し立てられ、財産の差し押さえに発展する恐れがある
通知に書かれている内容 「裁判所への申立準備中」「社会的信用の喪失」といった文言、請求金額、支払期日など

つまり、この通知は「まだ間に合います。でも、これが最後のチャンスです」というメッセージなんです。

なぜ「セゾン債権回収」なんて会社から通知が来るの?

「セゾンカードは使っていたけど、セゾン債権回収なんて会社は知らない」

そう思った方も多いはずです。実は、セゾン債権回収は、クレジットカード会社や金融機関から依頼を受けて、返済が滞っている債権の回収を専門に行う会社です。法務大臣の許可を得た正規の債権回収会社(サービサー)で、決して怪しい業者ではありません。

あなたが過去にクレディセゾンなどでカードを作り、何らかの事情で返済が止まってしまった場合、その債権がセゾン債権回収に譲渡されたり、回収業務が委託されたりします。だから、元のカード会社ではなく、セゾン債権回収から通知が届くわけです。

絶対にやってはいけない3つの行動

通知を受け取ったとき、多くの人が取ってしまいがちな行動があります。でも、それが状況を悪化させることもあるんです。以下の3つは、絶対に避けてください。

1. 慌ててセゾン債権回収に電話してしまう

「とりあえず電話して事情を説明しよう」「分割払いにしてもらえないか相談しよう」

そう思って電話してしまう気持ちは、よくわかります。でも、ちょっと待ってください。電話で「少しなら払えます」「分割にしてほしい」といった発言をしてしまうと、それが「債務の承認」とみなされ、後で説明する「時効」という救済措置が使えなくなってしまう可能性があるんです。

相手は債権回収のプロです。通話は録音されていると考えたほうがいいでしょう。専門家に相談する前に、自分で連絡を取るのは避けるべきです。

2. 怖くて見ないふりをする、放置する

「怖いから見たくない」「どうせ払えないし…」と、通知を引き出しの奥にしまい込んでしまう。これも、よくある反応です。

でも、残念ながら、無視しても問題は消えません。それどころか、事態は確実に悪化していきます。無視を続ければ、債権者は本当に裁判所に訴えを起こします。そうなると、解決にかかる時間も費用も、そしてあなたの精神的な負担も、何倍にも膨れ上がってしまいます。

3. 届いた書類を捨ててしまう

「もう関わりたくない」という気持ちから、通知をビリビリに破いて捨ててしまう方もいます。

でも、その書類には、契約内容や請求金額、契約番号など、今後の手続きを進める上で非常に重要な情報が詰まっています。専門家に相談するときにも必ず必要になるので、絶対に捨てずに保管しておいてください。

じゃあ、どうすればいいの?

答えはシンプルです。

できるだけ早く、弁護士か司法書士に相談してください。

「お金がないのに、弁護士なんて…」と思うかもしれません。でも、多くの法律事務所では、借金問題の相談を無料で受け付けています。まずは相談だけでもしてみてください。

専門家に依頼すると、こんなメリットがあります。

  • あなたの代わりに債権者とやり取りしてくれるので、直接の取り立てが止まる
  • 取引履歴を取り寄せて、正確な状況を調べてくれる
  • あなたに最適な解決方法を提案してくれる

そして、その解決方法の中に、「消滅時効の援用」というものがあります。

5年以上前の借金なら、返さなくていい可能性がある

実は、借金には「時効」があります。

最後に返済してから5年以上が経過していて、その間一度も返済しておらず、債権者とも連絡を取っていない場合、「消滅時効」が成立して、返済義務がなくなる可能性があるんです。

消滅時効とは
債権者が一定期間、権利を行使しなかった場合に、その権利を消滅させることができる制度。借金の場合、多くのケースで最終返済日から5年で時効が成立する。

ただし、時効は自動的に成立するわけではありません。「時効の利益を受けます」という意思表示(これを「時効の援用」といいます)を、内容証明郵便で債権者に送る必要があります。

以下の条件に当てはまるか、確認してみてください。

  • 最後の返済から5年以上が経っている
  • この5年間、債権者と返済に関する話を一切していない
  • この10年間、裁判を起こされたことがない

もし一つでも当てはまらない場合は、時効が成立しない可能性があります。でも、記憶が曖昧な場合もあるでしょう。そんなときこそ、専門家に相談すべきです。取引履歴を取り寄せて、正確な状況を調べてくれます。

時効が使えなかったら、どうすればいい?

もし時効が成立しない場合でも、諦める必要はありません。「債務整理」という方法があります。

方法 どんな手続きか
任意整理 専門家が債権者と交渉して、将来の利息をカットしてもらい、元本を3~5年かけて分割で返していく方法。裁判所を通さないので、比較的手続きが簡単。
個人再生 裁判所に申し立てて、借金を大幅に減額(約5分の1~10分の1)してもらい、原則3年で返済していく方法。住宅を手放さずに済む場合もある。
自己破産 裁判所に申し立てて、支払い不能であることを認めてもらい、借金の支払義務を免除してもらう方法。借金がゼロになるが、一定の財産は手放す必要がある。

どの方法が最適かは、あなたの収入や借金の総額、生活状況によって変わってきます。専門家と相談しながら、自分に合った方法を選んでいきましょう。

最後に:一人で抱え込まないで

セゾン債権回収からの「訴訟等申立予告通知」は、確かに怖い書面です。でも、それは同時に、問題を解決するための最後のチャンスでもあります。

一番やってはいけないのは、一人で抱え込んで、何もしないことです。

借金問題は、専門家の力を借りれば、必ず解決の道が見えてきます。無料相談を受け付けている法律事務所もたくさんあります。届いた通知書を持って、まずは一度、相談に行ってみてください。

きっと、あなたの不安を和らげて、前に進むための道筋を示してくれるはずです。